雨の日。
今日は雨だ。
こっちに来てからこんなにしっかり雨が降るのは初めてだ。
しかし、嫌ではない。
いや、これが平日ならば話は別だ。雨なんて滅べばいいと思う。
今日は祝日で、特段外出する予定もない。
だからこそ、雨をどこかノスタルジックにも感じることができる。
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人間は本当にその時々の感情によってものの捉え方が変わる生き物だと思う。
自分にとっての絶望は誰かにとっての希望で、誰かの楽しみは自分の悲しみだったりもする。
あのとき好きだったものは今ではトラウマで、今苦手なことはいつか趣味になるかもしれない。
私がこの考え方を持つきっかけとなったものの一つに進撃の巨人のアルミンのセリフがある。
『……良い人か…それは…その言い方は僕はあまり好きじゃないんだ。だってそれって…自分にとって都合の良い人のことをそう呼んでいるだけのような気がするから。』
アルミンが「あんた、良い人だね。」と言われた際に放った言葉だ。
物事の判断なんて、主観でしかないのだと思う。
法律だって、一般的に道徳的に正しいとされていることなのであって、例えば「殺人をしてもいい」という考えがマジョリティならば、悪は善になりうる。
ならば、その主観はどこからできているのだろうか。
その人が受けてきた教育、育ってきた環境、周囲の人間、もともとももつ道徳心、その時々の感情…様々な要素から主観は作られる。
だからこそ、価値観は人それぞれと言われるのだろう。
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さて、自分の価値観とはどんなものだろうか。
少なくとも休日の雨を悪くないと思う人間であることは確かだ。